不動産の相続手続
不動産の相続手続
不動産の遺産分割は難しい?
遺産分割で紛争になるケースで最も多いのが、不動産の分割です。
特に、遺産が自宅不動産ひとつだけというケースが要注意です。
なぜなら、分割し難いからです。
でも、ひとつの不動産を現実に分割できなくても、その代替方法は、いくつかあります。
ひとつは、代償分割という方法です。これは、法定相続分以上の遺産を取得した相続人が、他の相続人に対して代償金を支払うという遺産分割の方法です。
ただし、代償分割を成功させるためには、法定相続分以上の遺産を取得した相続人は代償金を用意する必要があるため、ここがネックになって協議がまとまらないということもあります。
次に、換価分割という方法があります。これは、相続財産を売却してお金に換え、相続人間でその代金を分配する方法です。
ただし、遺産の不動産に相続人のうちの誰かが居住もしくは、その場所で事業をしている場合などで、売却を拒まれると、ここがネックになって協議がまとまらないということもあります。
最後に共有持分で持ち合うという方法もありますが、これは遺産分割問題の先送りと言ってもよいかもしれません。いずれまた、分割の協議が必要になるケースが大半だからです。
いずれにしても、不動産の遺産分割は、法律面、税金面で有利不利が大きく別れるケースが多いので、不動産に強い援助者のサポートが必要になるでしょう。
また、場合によっては感情面で問題になるケースも多いので誤解のない協議が必要であるため、同様に不動産に強い援助者のサポートが必要になるでしょう。
以下に、不動産の相続手続について説明します。
相続登記の申請先
不動産の所在地を管轄する法務局、地方法務局、これらの支局または、出張所で手続をします。
相続登記の申請人
相続登記の申請人をする人は、実際に登記の名義人になる人(新所有者)です。
相続登記の申請期間
特に定められていません。
ただし、不動産の相続登記をしないまま長期に渡って放置しておくと、相続人にさらに相続が発生するなどして、遺産分割協議に加わる人の数がドンドン増えて、協議がまとまりにくくなる(場合によっては、面識のない人同士ということもあります。)ことがありますから相続登記は早めに済ませることをお奨めします。
相続登記の申請に必要な費用
相続登記に必要な直接の費用は、登録免許税という税金で、通常は収入印紙で払うことになります。
相続登記の場合の登録免許税の額は、固定資産税評価額の0.4%になります。ちなみに、相続人以外への遺贈の登記の登録免許税の額は、固定資産税評価額の2%です。
固定資産税評価額は、市町村が発行する証明書で確認します。
相続登記の申請に必要な主な書類
下記は、代表的な相続登記の申請に必要な書類ですので、ケースバイケースで他にも必要な書類があります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人の戸籍謄本(または抄本)
- 相続人の住民票
- 遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書
- 遺言による場合は、上記に代えて遺言書
- 固定資産税課税証明書(または評価証明書)
上記にうち、用意するのに最も時間と労力を要するのが、被相続人の戸籍や除籍の謄本であり、これが、日本では唯一、法律上の相続人(法定相続人)を証明する書面なのです。
相続証明書については、「相続証明書」のページをお読みください。