相続人の不存在
相続人の不存在
相続人の存在、不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合も含まれます。)には、家庭裁判所が申立てにより相続財産の管理人を選任します。
相続財産管理人は,被相続人(亡くなった方)の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
なお,特別縁故者(被相続人と特別の縁故のあった人)に対する相続財産分与がなされる場合もあります。
相続財産管理人の選任手続
申立できる人
- 利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた人、特別縁故者など)
- 検察官
申立先
被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
申立てに必要な費用
- 収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手(申立時に家庭裁判所が指示します。)
- 官報公告料3670円(裁判所の指示があってから納めます。)
申立てに必要な書類
(1)申立書
(2)標準的な申立添付書類
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本等
- 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本等
- 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本等
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本等
- 被相続人の兄弟姉妹で死亡している人がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本等
- 代襲者としてのおいめいで死亡している人がいる場合、そのおい又はめいの死亡の記載がある戸籍謄本等
- 被相続人の住民票除票又は戸籍除附票
- 財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)等)
- 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写し等)
- 財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票
一般的な手続の流れ
途中で相続財産が無くなった場合は、そこで手続は終了します。
1. 家庭裁判所は、相続財産管理人選任の審判をしたときは、相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告をします。
2. 1の公告から2か月が経過してから、財産管理人が相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告をします。
3. 2の公告から2か月が経過してから、家庭裁判所は財産管理人の申立てにより相続人を捜すため6か月以上の期間を定めて公告をします。期間満了までに相続人が現れなければ、相続人がいないことが、ここで確定します。
4. 3の公告の期間満了後、3か月以内に特別縁故者に対する相続財産分与の申立てがされることがあります。
5. 必要があれば、財産管理人は裁判官の許可を得て被相続人の不動産や株を売却し、金銭に換えることもできます。
6. 財産管理人は法律にしたがって債権者や受遺者への支払をしたり、特別縁故者に対する相続財産分与の審判にしたがって特別縁故者に相続財産を分与するための手続をします。
7. 6の支払等をして、相続財産が残った場合は相続財産を国に引き継いで手続が終了します。